ひとりゲームボーイアドベントカレンダー2016の第17日目です。前日の記事は「ゲームボーイ(DMG-01)をプロサウンド化しました」でした。
今では当たり前のことですが、暗い場所にいてもスマートフォンやゲーム機を使うことができます。これはバックライトが入っていて中から液晶を照らしてくれるからです。
初代ゲームボーイの液晶は時代的にバックライトは入っていません。
ゲームボーイにバックライトが搭載されたのは、国内ではゲームボーイライトが初出です。ライトが発売された半年後にはゲームボーイカラーが発売されたのもあって、日本国外ではゲームボーイライトは販売されていません。
ただ、ゲームボーイライト以降のゲーム機にはバックライトが搭載されているのですが、(電池の持ちとの兼ね合いで光量が低くく)暗いため一部のディープなユーザーの間ではフロントライトを搭載する改造方法も出回っているほどです。ただ、電池の持ちとの兼ね合いでゲームボーイ系列にバックライトが搭載されたのはゲームボーイアドバンスSP(北米版AGS-101)が初めてです。携帯電話の普及と共にバッテリー技術が向上したのもあり、その後のニンテンドーDSやゲームボーイミクロにはバックライトが搭載されています。ゲームボーイカラーはカラーなのにとても暗いため、一部のディープなユーザーの間ではフロントライトを搭載する改造方法も出回っているほどです。
本記事ではゲームボーイにバックライトを搭載する方法を紹介します。最初に目次を置いたらネタバレになってしまいますね。
はい、ゲームボーイの液晶を3台破壊しました。
目次
さらにネタバレになってしまいますが、本記事ではバックライトの搭載に失敗しています。バックライト実装の成功時の記事については以下の記事をごらんください。
ゲームボーイの液晶について
ゲームボーイの液晶について簡単に説明を書きます。
液晶はどういう仕組みで表示させているかというと、銀色のフィルムで光を反射させて、茶色のシートで偏光させています。
外部から光を取り入れて、反射板で光を反射させています。適切な角度で光を入れないと液晶の表示が見えなくなることはゲームボーイユーザーであればご存知かもしれません。そのため光のない布団の中ではゲームボーイができません。
本記事で紹介するバックライト化の作業では、反射板を取り外して、市販のバックライトに置き換えます。
偏光フィルターも同様にバックライトに合ったものに置き換えます。下図のオレンジ色の部分は偏光フィルター、緑色の部分は反射板(バックライト)です。
本日はゲームボーイにバックライトを搭載する改造をしてみましょう。
ゲームボーイにバックライトを載せる
ゲームボーイに載せるバックライトはHand-Held Legendで購入しました。
Amazonでも輸入販売している業者があるようですね。
GB(ゲームボーイ) バックライトキットV6 (緑色ライト) (Green/Standard)
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正直高いと思うので送料のことを含めたとしても、輸入してしまった方が安く済みそうです。
バックライトにリード線につなぐ
バックライトと抵抗*1とリード線がセットになって $9.99 でした。
安いのか高いのかわからない値段設定ですね。1,000円でバックライトが付けばかなり価値があると僕は思います。
バックライトをはんだ付けしました。バックライトのセットもバージョンアップしているみたいでわかりやすいです。同じ色同士接続すれば良いだけです。
バックライト側のはんだ付けはこれで終わりです。
反射板をはずす前の注意事項
注意!この記事を読んでバックライトを取り付けたくなる方は1人もいないと思いますが、他のバックライト対応の記事では書かれていない注意事項を書きます。みんな成功例ばっかじゃないかバカヤロー!
あまりくどくど書くのはよくないのですが、ここでは反射板をはずす前に徹底的に頭に叩き込んでおきたいことです。
Hand-Held Legendのインストーラーで下記のような記載があります。
Now use your fingers or pliers to peel back the silver film. DO NOT pull without securing the LCD screen. Make sure to hold the screen with your other hand and protect the connections from the ribbons cables to the LCD. Severing these could lead to a screen that is not repairable.
あなたの指やペンチを使って銀のフィルムを剥がしてください。 LCDスクリーンを固定しないで引っ張らないでください。もう一方の手で画面を保持し、リボンケーブルからLCDへの接続を保護してください。これらを断つと、修復できない画面が表示される可能性があります。
Game Boy Backlight | How to Install | Game Boy DMG
a screen that is not repairable(修理不可能な画面)ってなんだろう?と考えていた結果、ゲームボーイ2台を失うことになってしまいました。知らべても分からんやで……
具体的に説明します。ゲームボーイの型番はDMG-01で、DMGはDot Matrix Gameの略です。つまりゲームボーイの画面はドットのマトリクスで形成されています。
赤丸と紫丸で囲っているのが、ケーブルと液晶が接続されている部分です。赤丸の部分が破損すると液晶の横ラインが抜けます。紫丸の部分が破損すると液晶の縦ラインが抜けます。
縦ライン抜けに関してはハーネスに強度があるため、ドライヤーやはんだごてで温めることで修理することが可能です。
横ライン抜けに関してはハーネスがぺらぺらのプラフィルムなので、簡単に破損してしまいます。横ライン抜けを治す方法はありません。失礼、横ライン抜けを修理する方法はあることはありますが、あまり望みを持たない方が良いでしょう。
慎重に作業をしていてもゲームボーイの劣化具合によっては、反射板をはずす前に破損してしまうので気をつけてください。液晶を持ち上げて、液晶裏が腐食しているのを確認したらこの作業は行わない方が良いです。
ゲームボーイカスタム業界(!)で有名なRoBoPaNさんにアドバイスをいただきました。
正面から見て、右上から左下に引っ張るように剥がすと、フィルムの方には力が加わらずに剥がしやすいと思いますよ。小さめのラジオペンチがオススメです。
— ロボパン’ ██████® (@robopan_dmg) 2016年11月19日
Hand-Held Legendの人がアップロードしている作業動画を改めて検証してみると、まず左上にナイフで切り込みを入れて①、右上に向かって水平に反射板をめくっていき②、右上から左下に引っ張るようにはがしていました③。
僕は左上①から左下③にいきなりめくったのでハーネスに余計な負荷がかかってしまったのでしょう。
また、力んでしまうのを防ぐためにも、あまり綺麗に取るように意識しない方が良いかもしれません。
反射板をはずす
液晶側基盤だけの状態にしておきます。液晶のハーネスを止めているプラスネジを外します。
角にカッターで切り込みを入れて、慎重に反射板をめくっていきます。
綺麗に剥がれている例です。普通は接着剤が残ったりするようなのでうまく剥がせています。
剥がれた!めっちゃ綺麗だよ!!
バックライトと基盤を接続する
バックライトと基盤を接続する方法は2通りあります。好きな方法で実装するのが良いかと思います。
個人的にはその2の方法がメンテしやすいと思います。
バックライトと基盤を接続する(その1)
バックライトと基盤を接続するにははんだ付けをします。はんだ付けする場所は2種類パターンがあります。まずは電源側基盤から電源を供給するパターンを紹介します。
赤のリードと抵抗をつけます。場所はこの位置です。
青のリード線は電池ボックスから直接取ります。場所はこの位置です。
うまくはんだ付けできました。完璧ではないでしょうか。
液晶側基盤と電源側基盤を接続しました。
ちゃんとバックライトが光りました。ハンダも問題なかったようで安心しました。この時点では偏光フィルターを挟んでいないので、ただただバックライトが光ってるようにしか見えません。
液晶の表示をみるためには偏光フィルターが必要です。付属の偏光フィルターを入れてみました。
再度電源を投入してみました。バックライトと表示が綺麗に出ているのがわかります。
横ライン抜けが発生しているのは、はんだ付けの仕方が悪いのではなくて、反射板の剥がし方に問題があったようです。
バックライトと基盤を接続する(その2)
前述した内容では液晶側基盤からリード線を裏に通して、電源側基盤に接続していました。このままでも十分なのですが、外装を閉じる際にリード線を挟み込んでしまうのでメンテナンスがしやすいとは言い難い状態です。
よくよく調べてみると、液晶側基盤の接点に接続する方法があるのがわかりました。接点を液晶側基盤だけでまとめることができるので、こっちの方法の方が良さそうです。
余ったケーブルはボタンに接触しないように基盤側に引き込んでおきましょう。
外装のネジに巻き込んでしまいそうであれば、こちら側に絶縁テープで固定した方が良さそうです。
正面からみるとこんな感じ。かなり良い感じ。
バックライト装着時に気をつけること
次のバックライト装着で気を付けたいことのひとつです。*2
反射板を取り除いたあと、きちんと処理しないとバックライトで明るくなった分、下図のように余計ににじみやホコリが目立ってしまいます。電気を帯びるせいか埃が、意図せずついてしまうようです。
紫丸のにじみは粘着質なノリを拭き取っていなかったから発生しました。赤丸は埃です。
犠牲になったゲームボーイたち
さて、今回慎重に作業したにも関わらず3台のゲームボーイを破損してしまいました。悲しみのツイートです。
今日の事故まとめ: ゲームボーイ3号死亡(横ライン抜け)、ゲームボーイ2号死亡(液晶劣化)、ゲームボーイ4号死亡(横ライン抜け) pic.twitter.com/72eTh9dfnn
— さくさん (@ch3cooh) 2016年11月18日
それぞれのゲームボーイを破損した理由と考察を備忘録として残しておきたいと思います。
3号の死亡
綺麗に反射板が取れたと思ったのですが、横ラインのハーネスへ負荷がかかりすぎてしまっていたようで、横ライン抜けが発生してしまいました。
液晶を持ち上げた時点でペキペキと嫌な音を立てていたので悲しいですね。
3号のCPUの型番は「DMG-CPU-02」でした。いわばゲームボーイの初期に生産されたもので経年劣化によって、作業負荷に耐えられなかったのだと思います。
2号の死亡
液晶の中央部分に謎のにじみがありますが、普通にゲームをやるのには支障のない2号です。
今は縦ライン抜けも直して、プロサウンド化もしていました。
すでに3号の液晶側基盤を破壊してしまっているので、次は慎重に反射板を取っていました。取り外しの最中にペキッと何かが折れたような変な音が鳴って酸っぱい匂いが漂う。
何かが漏れていて反射板を侵していました。放射状の影というか滲みになっていたようです。謎のにじみの正体は反射板のしみでした。わかったところでどうしようもないのですが……
ペキッという音とともに液晶内部の液が重力にしたがって画面の下へ移動して固まってしまいました。液晶が割れているわけではありません。
念のためにバックライトをつけてみましたが、これはどうしようもなさそうです。
横ライン抜けはなくて綺麗に表示されています。液晶が壊れてなければ最高でしたね。
「液晶が劣化しているゲームボーイの反射板は外してはいけない」という教訓を得ました。これは破損不可避。
2号のCPUの型番は「DMG-CPU-06」で長期生産のゲームボーイとしてしては後期モデルでした。他の3号と4号と比べると新しいので横ライン抜けが発生しなかったのかもしれません。
4号の死亡
3号と2号の破損を経験して慎重に作業したつもりでしたが、ゲームボーイの電源をつけてみると横ライン抜けが発生していました。
3号はケーブルがかなり劣化していたのが目視できたのですが、それと比べるとかなり綺麗な基盤でした。反射板の取り外しで力が入ってしまったのが原因としか考えられません。
4号のCPUの型番は「DMG-CPU-06」で、2号と同じく後期モデルです。
まとめ
残念ながら今回はゲームボーイを3台犠牲にしてしまった上に成功しませんでした😞
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