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フィリップ・K・ディックの「トータル・リコール」を読んだ

フィリップ・K・ディックの「トータル・リコール」を読みました。映画の方ではなくて「トータル・リコール」「マイノリティー・リポート」など有名な映画の原作が含まれたフィリップ・K・ディックの短編集の方です。

トータル・リコール ディック短篇傑作選

トータル・リコール ディック短篇傑作選

ある程度の年齢以上の人なら「トータル・リコール」と聞くと「ああ……あの映画ね」となるんじゃないでしょうか。最近はあまり見ませんが一昔前はテレビでも放送していましたね*1。これです。

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映画版ではこんな強烈なシーンが続くのですが、原作の方は火星に行くことなく終わってしまいます。あらかじめ知ってはいましたが「トータル・リコール」の映画と原作は別物ですね。

この短編集が最近のSFアニメにたくさんの影響を与えているなと思う例をひとつあげるとすれば、「PSYCHO-PASS」でしょう。「PSYCHO-PASS」は携帯型心理診断鎮圧執行システム<ドミネーター>を通して、シビュラシステムが心理診断して即座に量刑を与えることで治安を維持している厚生省公安局の監視官と執行官が活躍するアニメです。

アニメ放送中にはディックの「マイノリティ・リポート」のオマージュじゃないのか?とよく言われていましたが、「マイノリティー・リポート」よりも「フード・メーカー」の方がより似ているかもしれません。

「フード・メーカー」は、精神(こころ)を読むことができるティープと呼ばれる超能力者が人々の自由連合政府への忠誠度をチェックして、浄化局が不満分子の探知と処罰を与えます。ティープによって不忠誠とみなされた人間は拘引される世界です。メンタルチェックされないためのフードが出てくるのですが、これはヘルメットという形でPSYCHO-PASSにも出てきましたね。

対して「マイノリティー・リポート」は犯罪を犯す前に犯罪者を拘引する世界なので、「フード・メーカー」のオマージュなのかもしれません。そうそう、両方の話がこの短編集に収録されてるのでPSYCHO-PASSファンの方には是非読んでいただいた上で、設定を比べてみてもらいたいですね。

今日、たまたまこのツイートを見ました。ちょうど「出口はどこかへの入り口」を読んだばかりだったので、これがあのロボットか…と思いました。

「この設定どこかで見たぞ??」と思うくらい、現在の漫画やアニメにかなりの影響を与えていている短編集でお腹いっぱいになりました。

全編を通して思ったのが、SF小説の短編集って星新一のショートショートっぽい……いや、時系列的には逆なのか?

*1:ひょっとしておっぱいポロリのせいでゴールデンタイムに放送できない?