「星系出雲の兵站-遠征-3 (ハヤカワ文庫JA)」を読みました。この記事はレビューや考証などといった高尚なものではなく、本書を読んで思ったことを書いた読書記録となっています。
- 作者:林 譲治
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2020/02/20
- メディア: 文庫
「星系出雲の兵站-遠征-3 (ハヤカワ文庫JA)」を読みました
本書の著者は「林 譲治」です。 本作品は、星系出雲の兵站シリーズ第二部の3作目にあたる作品となります。
第一部では、異星人の痕跡を発見し、壱岐の自治権を維持したままどのように異星人に対応していくのかから物語が始まり、人類コンソーシアムが異星人ガイナスに対してどのように対抗していくのかが描かれました。
第二部の「-遠征-」シリーズでは、ガイナスが集合知性を保持している間に人類によって有利な条件で和解することを目的に「壱岐星系内でのガイナスとのコミュニケーション」「敷島星系での調査」が主体となっています。
ガイナスは集合知性を保持していますが、中途半端にガイナスを攻撃しても少しでも撃ち漏らしてしまうと、再生して数年後にまた攻撃される可能性が示唆されており、物語的に単純な武力での解決ができない制約が設けられました。現時点ではガイナス対策は「殲滅」か「和解」しか選択できない状態になっています。
五賢帝*1との交渉を有利にするため、またガイナスの生態を調査するためにガイナスの母星である「敷島星系」に向かいます。「-遠征-1」では、敷島星系にふたつの知的生命体の住む惑星がふたつ発見されます。「惑星美和」と「惑星敷島」です。
惑星美和での調査が進む
「-遠征-2」では、惑星美和でゴート(惑星美和に住む異星人のコードネーム)の遺体を発見します。ドローンを使っての調査でしたが、ゴートの墓地が発見されたことから地上部隊を降ろすことに。
今作「-遠征-3」では、「惑星美和で生きたゴートに遭遇する」「出雲星系の第二管区で播種船の一部を発見」と、そもそもの世界観である「地球から逃げてきた」設定を掘り下げてきます。
水神・火伏は壱岐にいるためほとんど出てこず。タオは全然出て来ませんが、きっと彼らが動いて第二部が終わるんだろうなぁ。群集劇である本作だけど、シャロン紫壇の登場回数が飛び抜けて多いな……。
- 惑星壱岐にいてガイナスとの交渉
- 惑星美和での海洋調査
- 惑星敷島での衛星軌道からの調査
- 惑星出雲での保守船調査
と各地域に分かれて物語が進んでいるので登場人物も増えてきました。対ガイナスとのやりとりだけを扱うものだと思っていましたが、播種船にまでツッコミ始めるとさらに話の進行が遅くなりそうな…… 早く次の巻が読みたくなります。
人類に伝わる播種船の話に疑いがかかる
伝説上の惑星である「地球」から遺伝子情報を持って脱出してきた「播種船」。いままでの物語では「……と言われている」とお話の枠を超えていませんでした。僕個人としてもそういう設定だもんなと物語のフレーバーと考えていました。
「-遠征-3」で、ついに播種船の一部が発見されます。人類に継承されている伝説を覆す事実が明らかになりました。
いままでは地球から銀河の中央方向にある出雲星系に直接向かい、人類は出雲星系から銀河の中央に向かって開拓していたと思われていましたが、実際にはその逆でした。地球から銀河の外縁にある出雲星系に向かったことが示唆されました。
つまり播種船は敷島星系側から出雲星系にやってきたことが明らかになりました!
惑星敷島での核戦争の時期と播種船が敷島星系を通過した時期がほぼ同時期であることがわかり「ガイナスが播種船を見つけてから壱岐星系に向かったのか」「ガイナスが壱岐星系に向かってから播種船が通過したのか」が、次の巻で明らかになりそうです。
早く続きが読みたいですね。
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前巻「星系出雲の兵站-遠征-2」の読書記録はこちらです。
この読書記録以外にも、本を購入した記録や読んだ記録を紹介しています。もしご興味ありましたら読んでください。
*1:ガイナスの集合知性