ひとりゲームボーイアドベントカレンダー2016の第11日目です。前日の記事は「ゲームボーイ(DMG-01)3号をレストアする」でした。
初代ゲームボーイ(DMG-01)の故障といえば、その原因を大まかに分けると下記の4つになると思います。
- 電源が入らない
- ゲームが始まらない (Nintendo®︎で止まる)
- 液晶に縦ライン抜けが発生している
- 液晶に横ライン抜けが発生している
ゲームボーイが登場してから27年経ち、世界中で約1億2千台売れたヒット商品ですので、いずれも国内外の職人によって修理方法が確立されています。
本記事では「液晶に縦ライン抜けが発生している」問題に対応したいと思います。それ以外の点については後日修理方法をまとめて書きたいと思います。
初代ゲームボーイの液晶の構造
ゲームボーイの液晶について簡単に説明を書きます。ゲームボーイの液晶には「反射型STN液晶」が使われています。
反射型液晶はどういう仕組みで表示させているかというと、銀色のフィルムで光を反射させて、茶色のシートで偏光させています。
外部から光を取り入れて、反射板で光を反射させています。適切な角度で光を入れないと液晶の表示が見えなくなることは一度ゲームボーイで遊んだことがあればご存知かもしれません。そのため光のない布団の中ではゲームボーイができません。
ゲームボーイの型番はDMG-01で、DMGはDot Matrix Gameの略です。つまりゲームボーイの画面はドットのマトリクスで形成されています。
赤丸と紫丸で囲っているのが、ケーブルと液晶が接続されている部分です。 赤丸の部分が破損すると液晶の横ラインが抜けます。紫丸の部分が破損すると液晶の縦ラインが抜けます。
液晶とケーブルがどのようにつながっているのかについて、しえんさんの解説ツイートを貼ります。
ゲームボーイのLCDライン抜けについて。 pic.twitter.com/vOjwsLQb5Z
— しえん (@Shien_BNR32) 2016年11月24日
縦ライン抜けに関してはハーネスに強度があるため、ドライヤーやはんだごてで温めることで修理することが可能です。
横ライン抜けに関してはハーネスがぺらぺらのプラフィルムなので、簡単に破損してしまいます。気をつけましょう。
縦ライン抜けとは
縦ライン抜けについて書きましょう。
僕がレストアしたゲームボーイ2号と3号の液晶の様子です。液晶の左右両方には何も表示されていないラインが発生しています。経年劣化によって圧着された接点が剥がれているのが原因です。
経験上*1、ゲームボーイの縦ライン抜けは中央部分では発生せずに左右のどちらかで発生しているようです。
液晶の縦ライン抜けを修理する
ゲームボーイ1号と4号はライン抜けがありませんでした。1号は既に修理済みで、4号は電源ホルダー不良が原因以外だった点以外は優秀でした。
ゲームボーイ2号の液晶を修理する
コントラストを上げると明確にラインが抜けている部分がわかります。
直接はんだごてを当ててしまうとハーネスが溶けてしまったり傷が入ってしまいそうで怖いです。アルミホイルを巻いたものをあててその上からハンダを当てました。
熱したはんだごてで撫でているとライン抜けが徐々に治っていきます。
はんだごての熱で溶かした接着剤が冷えて固まるのを待ちます。綺麗に治りました。
不慣れなのもあって時間がかかってしまいましたが、縦ライン抜けを修正するのにかかる時間はおおよそ10分ほどです。
ゲームボーイ3号の液晶を修理する
コントラストを上げてみました。ラインの抜け方は2号よりもひどい状態です。
すでに1台直しているので勘所は抑えています。ちょちょいと直しました。
治ってよかった、と外装に収めるために基盤をちょっと動かすと縦ライン抜けが復活してしまいました。
一部分のライン抜けがなかなか治らないというパターンもあるようです。ライン抜けをなおした!ライン抜けが復活した!というのを3回くらい繰り返してしまいました。
ライン1本の状態までは5分くらいでしたが、そこから完全にライン抜けを治すのに10分くらいかかってしまいました。
参考にしたページ
縦ライン抜けの修理方法を扱っているブログやサイトはたくさんありますので、ちょっとぐぐってみて自分にとってやりやすい方法を見つけていただくのが良いのかもしれません。
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この他にもゲームボーイの修理・改造ネタを紹介しております。Tipsをまとめておりますのでこちらのページをご参照ください。
*1:といってもライン抜けゲームボーイには2台しか見ていませんが……