酢ろぐ!

カレーが嫌いなスマートフォンアプリプログラマのブログ。

さくさん、インコネコのLINEスタンプを作ったってよ

僕がTwitterのアイコンに使っているのは、嫁が生み出したインコとネコのハイブリットミュータント「インコネコ」です。このアイコンに変えてから、かれこれ数年経っている気がしますが名前があったことにビックリしました。一昨日名前を聞きました。

このインコネコのLINEスタンプが本日より発売されています。どの層に需要があるのかわかりませんが、LINEをお使いのみなさま是非ご購入ください。第一弾ということで汎用的に使えるスタンプを中心に収録しています (第二弾があるとは言ってない)

LINEストアのページはこちらから。

store.line.me

友達や配偶者に「今何してるの?」と聞かれて「携帯ゲーム機の修理中」スタンプがなくて困ったことのある方に非常にオススメできる内容となっています

スタンプ開発エピソード

いつものように仕事を切り上げてNintendo Switchに電源をつけたところ、フォートナイトが定期メンテナンスで遊べず暇を持て余していました。フォートナイトは毎週水曜日の19時〜21時くらいまでバージョンアップのメンテナンスがあります。シーズン6に入って飛行機が実装されたので、初手で飛行機を奪って、終盤に入ってから強者同士が戦っているなか割り込んでいくムーブがかなり強いです。ただシーズン5にバイク追加されてからというもの、移動手段に乗り物を使うようになってしまい、かなり上がったはずの建築技術とAIMがズタボロでもうSplatoonに戻れそうにありません。

僕は基本リモートワークで、アプリの設計やIssueの返事をどうしようか悩んでいるときに、ついつい無意識的に落書きしてしまっています。長電話中に受話器のコードを指に巻いて遊んでいる感じです。

2018年末は実装作業をしておらず仕様調整に回ることが多くて、その分文字を書く時間が増え、落書きが増えていました。たまーーに書いた落書きをTwitterにアップロードしています。これは沼にハマる現場インコネコです。

これをみた亜鉛氏がこんなことを言っていました。

この日(12月18日)はフォートナイトが長期メンテナンスに入って仕事終わりにやることがなかったので、数年ぶりにLINEスタンプ制作に再チャレンジすることにしました!

さくさん流超シンプルLINEスタンプ作成法

大昔に一度LINEスタンプを作ろうとして諦めたことがありました。一番キツかったのが「40個もネタを考えないといけない」ところでした。

2年くらい前にこの辺りが改善されて、現在ではスタンプの数が 8個/16個/24個/32個/40個 を選択できるようになっているようです。

正確な時間は計測していませんが、だいたい12時間くらいでスタンプを作ることができました。2〜3時間でスタンプができると考えていたので、思ったよりも労力がかかってしんどかったです。

内訳としては以下の通りです。

  • ネタだし+イラスト描き: 3時間
  • 画像切り出し+並び順変更:0.5時間
  • 線画抜き出し+色塗り:8時間
  • リリース用のストアアイコンとタブアイコンの作成:0.5時間

ネタだし

ネタだしが結構キツかった。本当にきつい…… 本当は40個考えたかったけど自分一人で考えるのは24個くらいが限界で頭をひねりにひねって8個追加して、なんとか32個のスタンプを作ることができました

既存のスタンプの内容は、ほとんど重複していて、ざっくりとまとめると以下のように分類できると思います。あまりシュール系に走ってしまうとリジェクトされてしまうので気をつけたいところです。

  • 挨拶系:おはよう、こんばんは、起きた? etc...
  • 5W1H:どこ?、だれ?、いつ?、なに?、なんで?、どうやって? etc...
  • 返事系:OK、NG、まかせろ etc...
  • シュール系:(変顔しているイラスト) etc...
  • 季節もの:あけおめ!、メリクリ! etc...

それでもネタが思いつかなければ、使う相手を想定して作るのがよさそうです。

たとえば id:kazuakixid:Shinji_Japan は17歳を自称していますが、彼らを想定したスタンプを作るとするのであれば、「今何歳ですか?」に対して「17歳です」や「秘密です」や「若者です」のスタンプを作ることができるし、「干支をおしえてください?」に対して干支分12個のスタンプを作ることができます。

イラスト描き

本当はペンタブで描きたかったんだけど、macOSでのペンタブのカーソル移動速度の調整方法がわからなかったので手書きすることにしました。

A4のコピー用紙を六等分して、スタンプ用のテンプレ用紙をExcelで作りました。あとは自宅のプリンタで印刷しまくってイラストを適当に書いていきます。

Dropboxアプリで書いたイラストを取り込む

せっかく正方形の枠の中にイラストを描いても、スマホカメラで撮影すると台形になってしまいます。iOSのDropboxアプリを使ってドキュメント撮影機能を使えば台形を矩形を補正することができます。ホモグラフィ*1です。

過去にOpenCVを使って透視投影変換をさせていたこともありましたね。

画像切り出し

コピー用紙にスタンプ6個分のイラストを描いていました。これを個別に切り出していきます。僕はmacOSのプレビューアプリを使ってトリミングしていきました。

並び順の変更

Google Docsのスプレットシートにファイル名とセリフを書き出して、切り出した画像の並び順を考えました。

切り出した元絵を01.png〜32.pngに並べ変えしました。

FireAlpacaを使って色塗り

Windows Mobileでのお絵かきソフトといえば「mdiapp」ですが、同じ開発者によるペイントツールの「FireAlpaca」を使って色塗りをしました。ryocotanの「フルスクラッチによるグラフィックスプログラミング入門」にはお世話になりっぱなしでした。

LINEスタンプ作者で評判のCLIP STUDIO(クリップスタジオ、通称クリスタ)を使おうと体験版をインストールしたのですが、操作方法を覚えるのに時間がかかってしまいそうだったので、昔から使い慣れているFireAlpacaを使うことにしました。

FireAlpacaには線画抽出という神機能があるので、Dropboxアプリで二値化して取り込んだ画像から綺麗な線を抽出することができます。

線画を抽出したら色塗り用のベースとなるレイヤーを作ります。

僕は塗りつぶしツールを使って適当に塗ったあと、線画レイヤーを非表示にして大きなペンで隙間を埋める作業をしていました。インコネコ自体は緑色と黄色を塗れば良いだけなのでざっくりと塗りました。

LINEスタンプは透過PNGを使うことになるので塗りつぶし漏れがあると、背景色が透けてしまい格好の悪いことになるので注意します。

何通りか背景色を変えて、塗り忘れがないか?背景色と同化しないか?を調査しておきます

先述した通り、ペンタブを使うことができなかったのでセリフ部分はマウスでちまちま書きました。

LINEへスタンプを申請する

zipでまとめて圧縮してLINE CREATORS MARKETにスタンプを申請します。必要な画像を添えてzipで圧縮して、審査に提出します。

  • main.png (ストアで表示されるアイコン)
  • tab.png (キーボード上に表示されるミニアイコン)
  • 00.png〜40.png (スタンプ画像)

リジェクトされるので修正する

LINEスタンプは審査が厳しくて、うんち💩が入っているとリジェクトされるとか、自分の息子の写真を撮影して審査に出したけど服のブランド名が原因でリジェクトされるとかの前情報は調べていました。今回は完全一次創作キャラクターですし、他の著作(インコとネコのミュータント)に触れるようなものもないので、審査に通る自信はありました。

審査に通す自信があったのに計2回リジェクトされてしまいました……

12/20(木)に審査に出して、12/24(月)にリジェクトされました。著作権者名を「ch3cooh.jp」にしていたのが「3.10.第三者もしくは自己の個人情報を開示し、または開示する恐れのあるもの」を侵しているらしい。

12/24(月)に再提出しました。著作権名は「ch3cooh.jp」のままで、ch3cooh.jp と KENJI WADAはすでに結びつきのあるものですよと説明する文章を添えましたが、12/26(水)にリジェクトされました。

対処方法がわからなかったので、数日悩んで著作権者名がドメインっぽくなっていると無条件でリジェクトされるのでは?と行き着き「KENJI WADA」に変更しました。

12/29(土)に再々提出したところ、1/4(金)に審査を通すことができました。

(おまけ) iMessage用ステッカーとしても販売する

個人的にはLINEは実家との連絡用として使っていて、嫁との連絡にはiMessageを使っています。二人ともiPhone使いだったらそれが一番楽なので……

iMessage用ステッカーの作り方については時間を見つけて解説記事を書きたいと考えていますが、Xcodeを開いて Stickers.xcstickers を順番にドラッグ&ドロップして、あとはアプリと同じようにアーカイブしてApp Store Connectへアップロードして完了です。

LINEスタンプは理不尽なリジェクトばかりでしたが、Appleの理不尽なリジェクトには対処ノウハウがあるので、リジェクトどんとこいの構えでしたが、12/29(土)に審査に出して1/3(木)には審査が終わって公開されていました。

https://itunes.apple.com/jp/app/id1447614079?mt=8&at=10l8JW&ct=hatenablog

LINEスタンプの売値は120円/個です。LINE社やスマホプラットフォームに諸々手数料を取られてクリエイターの利益としては31円/個だそうです。iMessage用ステッカーの売価も同じ120円/個ですが、LINE社の販売手数料がない分クリエイターの利益は 84円/個です。露出を増やす意味でもLINEとApp Storeの両方にスタンプをリリースして良いと思います。

まとめ

以上が、インコネコのLINEスタンプを作ってリリースするまでの流れでした。

プロの人や同人でイラストを描き慣れている方ならササっと作成できるのでしょうが、ネタ出しを含めて結構時間がかかってしまいました。もしよければインコネコのLINEスタンプをお使いください!

store.line.me

*1:日本語だと、透視変換?射影変換?透視投影変換?