8月下旬、英国大使館から突然メールが来た。
プリンス・オブ・ウェールズ(以下PWLS)の艦内見学会には落選したものの、東京国際クルーズターミナルの展望デッキからの特別観覧会に参加できるという内容だ。
艦内見学会の抽選に応募してから返信が全くなく、当選者への連絡は少し前にあったので「これは落選だわ」と諦めて、横須賀まで行ってYOKOSUKA軍港めぐりに課金して観てきた*1。
直前になって、まさか展望デッキから間近で見る機会がもらえるとは思いもしなかった。
なぜPWLSは東京湾に来たのか
先々週横須賀で見てきたときは、PWLSはノルウェー海軍のフリゲート「ロアール・アムンセン」と並んで停泊していた。これは単なる友好訪問ではなく「ハイマスト作戦(Operation HIGHMAST)」という英国主導の大規模なインド太平洋展開作戦の一環によるものだ。
この作戦には約4,000名の英国軍人員と6か国の艦艇が参加し、40カ国以上を訪問し、英国の存在感をアピールし、同盟国及びパートナーとの関係強化を図るという側面があるようだ。英国のF-35Bが「かが」に着艦するというクロスデッキ訓練もおこなわれた。
先代の戦艦PWLSのことを考えると、空母PWLSの東京訪問は、第二次世界大戦終結80周年の日英関係の強化を示すメッセージではないかと思う。8月15日の横須賀での戦勝式典の投稿に対して、Twitter(現X)では大荒れしていた様子だったが……
特別観覧会の当日
特別観覧会にはゆりかもめで向かった。普段地下鉄しか乗らないこともあって、地上を走る電車ってこんなに暑いの?と考えていたら、東京国際クルーズターミナルの建物に隠れたPWLSを発見した。

外国籍の軍艦だからか、入場ゲート周辺には警官が配置されパトロールしていた。ゲートで当選メールを見せて中に入った。
正面にF-35Bが見えて興奮した。F-35Bは短距離離陸・垂直着陸が可能なステルス戦闘機で、PWLSのスキージャンプ台からの離陸ができるという*2。

クルーズターミナルの中では音楽隊の演奏を見ることができた。

先々週の横須賀では距離がありすぎて、ディティールがはっきりとはわからなかった。

展望デッキに出ると「でっか……!」としか言えなかった。とても近い。

スキージャンプ台の方を見ると、F-35Bが4機いた。後ろにもF-35Bがたくさん。あらー、かわいいわねぇ。


飛行管制艦橋(後ろのアイランド)には、艦内見学会に当選した人たちが乗組員と大使館の人に案内されているのが見える。羨ましい。

しばらく眺めていると、艦橋から続々と人が出てきて(展望デッキに向かって)手を振ってくれた。

艦尾から艦首に向かって撮影したところ。全長280mがいかに巨大かがわかる。

さすがにイギリス海軍の軍人にも日本の夏は過酷すぎるのか、陸上から冷風を送り込んで作業をしているようだった。

余談その1
遠くから撮影している人がいたので豊洲からも見えるのかな?と思ったけれど、Google Mapsとにらめっこして、角度的に見えないことがわかった。
豊洲からプリンス・オブ・ウェールズは角度的に見えませんでした https://t.co/E4egRq6Aab pic.twitter.com/jwmXqVYJTW
— さくさん (@ch3cooh) 2025年8月30日
余談その2
プリンス・オブ・ウェールズは英語圏でも「POW」と略されることがあるらしく度々議論されているようだ。
このフォーラムでは「POW」と略して怒られるかどうかは文脈や船員に依るところが多いだろうとしつつも「The HMS Prince of Wales」はガチギレされる案件のようだ。さくさんとしてはTwitterの公式アカウント名のHMSPWLSに合わせて「PWLS」の略称を使うことにした。
*1:後日、見学会90人の枠に対して4万人の応募があったという投稿を見つけた。倍率0.2%の狭き門である
*2:防衛省「新田原基地におけるF-35Bの垂直着陸訓練の実施について (PDF)」