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看護師国家試験で必修39点なのに合格する・必修40点でも不合格になるのは何故か?

2021年2月14日に第110回看護師国家試験が執り行われました。前日に大地震があり全国の会場で開催が1〜2時間遅延され、(カンニング防止のため)途中退場もできないなかのでの開催だったかと思います。お疲れ様でした。

さて、看護師国家試験では必修問題を40問取らないと不合格になりますが、自己採点時点で必修39点なのに受かる場合があります。また必修40点なのに落ちる場合もあります。40点取れていれば合格ではないのか?

それは「不適切問題」の存在に起因しています。学校や予備校で「必修は45点以上を目指しなさい」と口をすっぱくして言われるのはこのあたりの事情からです。

嫁に「必修40点以上正解していたら合格なのになんで落ちることがあるんだ!」と言われたので厚生労働省のサイトで採点基準について調べてまとめました。

要約

  • 必修40点のひとは、正解している問題が 1問以上「完全除外」になると不合格になる。
  • 必修39点のひとは、不正解になった問題が 2問以上「完全除外」「不正解のみ除外」になれば合格になる
  • 必修38点のひとは、不正解になった問題が 3問以上「完全除外」「不正解のみ除外」になれば合格になる
  • 合格基準は毎年変わるので、この記事の内容が適用されないかもしれない (重要)

看護師国家試験について

看護師国家試験は、正看護師(高看とも呼ばれる)になるための試験です。雑な説明だけど許してください。

看護師国家試験には、大きく分けて2つのカテゴリーの問題があります。「必修問題(以下必修と記す)」「一般・状況問題(以下一般状況と記す)」のそれぞれに合格ラインが設けられています。

問題数 合格ライン
必修問題 50問 得点率80%以上
一般状況問題 250問 170点以上(目安)

基本的には、必修問題は8割以上・一般状況問題は7割以上取れていれば合格になります。

一般状況については毎年受験者の得点率によって合格ラインが変動します。よくボーダーラインと言われていますね。ここ5年は142〜155点取れていれば合格となっています。全体の得点率65%以上取れていれば合格する傾向にあります。

必修については得点率80%以上で合格となります。であれば……

  • 必修39点の人は、39/50 = 0.78(78%) で不合格
  • 必修40点の人は、40/50 = 0.8(80%) で合格

です。

これで話は終わりです。

…… とはなりません。「不適切問題」の存在が点数に影響します。

不適切問題について

不適切問題とは以下の問題を指します。雑に説明すると、正解が2つ以上ある問題や難しすぎる問題のことです。

不適切問題に認定されると、採点の採点から除外されたり、正解が増えたりします。

不適切問題の種類 厚労省側の対処例
正解がない問題
(問題として成立していない)
採点対象から除外する
難しすぎる問題
(必修レベルではない)
正解した受験者については採点対象に含め、不正解の受験者については採点対象から除外する
正解の選択肢が複数ある問題 複数の選択肢を正解として採点する

それぞれについて詳細を記します。

完全除外される問題

本記事では「完全除外」と呼びます。どのように採点されるかといえば下記の通りです。

採点対象から除外する

正解の選択肢が存在していなかったり問題自体が適切ではなかったり、そもそも問題として成立していない場合です。採点対象から完全に除外されます。

第107回の必修には2問あり、第109回の必修では0問でした。

不正解のみ除外問題

本記事では「不正解のみ除外」と呼びます。どのように採点されるかといえば下記の通りです。

正解した受験者については採点対象に含め、不正解の受験者については採点対象から除外する

正解はあるけれど、必修レベルではなく難しすぎる問題です。

難しすぎると言うのはやや主観的すぎますね。東京アカデミーやさわ研究所、または看護ルーなどの回答速報の正答率を見てみると良いかもしれません。

第110回の必修問題では「午後問16」の正解率が約65%でしたので「不正解のみ除外」に認定される可能性が高いと噂されています。実際に不適切扱いされるかどうかは公示を待つ必要があります。

第107回の必修では6問あり、第109回の必修では2問でした。

複数正解問題

本記事では「複数正解」と呼びます。どのように採点されるかといえば下記の通りです。

複数の選択肢を正解として採点する

分母に影響しないため、回答速報で不正解だった方にはボーナス問題になるのでしょうか?

第107回の必修では0問あり、第109回の必修では0問でした。必修問題ではあまり発生しないのかな?

看護師国家試験の合格基準は毎年変わる

一般状況問題は受験者全体の得点率でブレブレになるのは前述の通りです。

不適切問題の数によって、必修問題でも基準が変わります。あくまでも「必修問題の合格ラインは正解率80%以上」です。

ここで「40点取れたら合格」と書かないとは、毎年不適切問題があるためです。

不適切問題とは、正解が2つある問題や必修レベルではない(難しすぎる)問題のことです。不適切問題に認定されると、採点の採点から除外され、有効な問題数(分母)がまちまちになってしまうからです。

そのため必修問題の合格基準は「得票率80%以上で合格」とされています。

本記事では第107回と第109回の合格基準を例にして説明します。

第107回看護師国家試験の合格基準は以下の通りです。

必修問題 39点以上/ 48点
但し、必修問題の一部を採点対象から除外された受験者にあっては、 必修問題の得点について、38点以上/47点、37点以上/46点、36点以上/45点、 36点以上/44点、35点以上/43点又は34点以上/42点とする。

つまり得点率を計算すると下表の通りです。

 第107回 得点 有効問題数 得点率
基準 39点以上 48 0.813 (81%)
不正解のみ除外 (対象問題数1) 38点以上 47 0.808 (80%)
不正解のみ除外 (対象問題数2) 37点以上 46 0.804 (80%)
不正解のみ除外 (対象問題数3) 36点以上 45 0.8 (80%)
不正解のみ除外 (対象問題数4) 36点以上 44 0.818 (81%)
不正解のみ除外 (対象問題数5) 35点以上 43 0.814 (81%)
不正解のみ除外 (対象問題数6) 34点以上 42 0.810 (81%)

第109回看護師国家試験の合格基準は以下の通りです。

必修問題 40点以上/ 50点
但し、必修問題の一部を採点対象から除外された受験者にあっては、 必修問題の得点について、40点以上/49点、39点以上/48点とする。

つまり得点率を計算すると下表の通りです。

第109回  得点 問題数 得点率
基準 40点以上 50 0.8 (80%)
不正解のみ除外 (対象問題数1) 40点以上 49 0.816 (81%)
不正解のみ除外 (対象問題数2) 39点以上 48 0.812 (81%)

いずれの場合でも得票率80%以上で合格となります。

必修39点なのに合格する場合、必修40点でも不合格になる場合

さて不適切問題に触れたところで、表題の「看護師国家試験で必修39点なのに合格する・必修40点でも不合格になる場合」についてです。ざっと表にまとめました。

上表からいくつかの例について紹介します。

必修40点なのに不合格になるケース

あなたの答案が以下の2つの条件に該当する場合には「不合格」になります。

  • 解答速報で必修 40点
  • あなたが「完全除外」になった問題を2問とも正解している

解答速報で40点取れていたとしても、うち2問は完全除外されるため、得点が40点から38点にダウンします。有効問題数(分母)も同時に減ってしまうので80%よりも低くなります。

得点 問題数 得点率
38点 48 0.79 (79%)

第107回の採点基準では「48問中39点以上」が合格ラインなので、要件を満たせておらず不合格となります。

必修問題が「完全除外」になることはなかなかないので、あまり心配しなくても良いと思いますが、3年前の事例なので恐ろしいですね。

必修39点でも合格になるケース(その1)

あなたの答案が以下の2つの条件に該当する場合には「合格」になります。

  • 解答速報で必修 39点
  • あなたが「完全除外」になった問題を2問とも不正解している

すべての問題のうち2問は採点対象から完全除外されると、得点は39点のままだけど分母が低くなるため、得点率は必然的に上がります。

得点 問題数 得点率
39点 48 0.812 (81%)

第107回の採点基準では「48問中39点以上」が合格ラインなので、要件を満たし合格となります。必修問題で「完全除外」になることはなかなかないので、このケースはあまり期待しない方が良いです。

必修39点でも合格になるケース(その2)

あなたの答案が以下の2つの条件に該当する場合には「合格」になります。

  • 解答速報で必修 39点
  • あなたが「不正解のみ除外」になった問題を2問とも不正解している

「不正解のみ除外」問題に不正解している場合、採点対象から除外されます。得点は39点のままだけどこのケースでも分母が低くなるため、得点率は必然的に上がります。

得点 問題数 得点率
39点 48 0.812 (81%)

第109回の採点基準では「48問中39点以上」が合格ラインなので、要件を満たし合格となります。第109回では必修39点で合格したひとが続出したらしいのですが、おそらくこのケースに当てはまったのではないでしょうか。

不適切問題があっても必修39点で不合格になるケース

あなたの答案が以下の2つの条件に該当する場合には「不合格」になります。

  • 解答速報で必修 39点
  • あなたが「不正解のみ除外」になった問題を1問正解している
  • あなたが「不正解のみ除外」になった問題を1問不正解している

「不正解のみ除外」問題に1問正解していて1問不正解している場合はちょっと残念です。

1問のみ採点対象から除外されます。このケースでも分母が低くなり得点率は上がりますが、得点率は残念ながら80%に届きません。

得点 問題数 得点率
39点 49 0.795 (79%)

第109回の採点基準では「49問中40点以上」が合格ラインなので、要件を満たせておらず不合格となります。

必修38点・必修37点・必修36点・必修35点・必修34点で合格するのに必要な不適切問題の組み合わせ

第107回は近年稀にみる不適切問題の多さだったようで、条件に当てはまっていれば必修34点でも合格の目があったようです。簡単に表にまとめましたので該当する組み合わせで計算してみてください。

具体的にどの問題かはわかりませんが「第110回は必修で3問くらい不適切問題になるのでは」と風の噂に聞きました。

毎年合格基準が変わるので確実ではありませんが、もし3問が不適切問題となった場合かつあなたがその3問とも不正解していた場合には、有効問題数が47点となるため必修38点でも合格できる計算となります。 38/47=0.808(80%)

しかし計算してみるとわかりますが必修38点以下はかなり厳しそうです。逆に第107回はなんでこんなに不適切問題が多発したのか不思議です。

まとめ

ざっと書き殴りました。

40点だとほぼ合格ですが(運が悪いことに)条件が重なれば不合格となってしまいます。逆に解答速報時点で必修39点でも条件が重なれば合格します。

必修問題で安全圏に乗せたい場合は解答速報時点で 41点以上は欲しい ですね。もし正解した問題が2問とも完全除外されたとしても 39/48=0.815(81%) で合格できるので、心穏やかに合格発表日を迎えられることでしょう。

このパターンではどうなるのか?と質問がありましたらコメントをお願いします。計算がおかしい等のご指摘もお待ちしております。

参考ページ